今回は、「革命のファンファーレ」を紹介します。
僕はこの本と出会って、西野さんのファンになりました。
どのように絵本「えんとつ町のプペル」がヒット作となったのかを学べる、超絶おススメの本です。
100文字あらすじ
芸人かつ絵本作家である西野亮廣氏による、お金と広告に関するビジネス書。
絵本「えんとつ町のプペル」をどのような戦略で大ヒットに導いたのか、超わかりやすくマーケティングを学べる1冊。
特におすすめしたい人
・どのようにヒット作を生み出したのか知りたい方
・西野さんの本を読んだことが無い方
・マーケティングに興味がある方
西野さんの本で一番売れている、大ヒットの本です。
この本の3つの推しポイント
①マーケティング視点を学べる
どのような策をとったら、より多くの人の手に渡るのかという考え方を学ぶことができます。
②わかりやすく、読みやすい
初心者でもわかりやすく、丁寧に説明してくれており、読みやすいです。
③何十手も先を読む西野さんの思考を知れる
この本で詳しく語られますが、大ヒットを生むために、
何十手も先を読んで戦略を立てています。
そんな逆算的な考え方がめちゃめちゃ面白いです。
メガヒットのための戦略① 制作
今回はいつもと少し形を変えて、どのように「えんとつ町のプペルが大ヒットしたのか」という部分について、述べていきます。
西野さんは、以下のように述べています。
『えんとつ町のプペル』を作る為には、資金調達が必要で、資金調達を成功させる為には、信用を勝ち取ることが必要だった。
・分業制
映画やドラマなどは、
照明さんや役者さん、メイクさんなど各担当のプロによる分業制での制作。
会社や学校など世の中の様々なものが分業制で回っています。
では、なぜ絵本は一人で制作するのか?
→市場規模が小さく、1万部で大ヒットと呼ばれる絵本業界。
人を雇うだけの資金を売上で回収することができないから、一人で制作するのが当たり前。
→資金があれば、分業にて制作できる!
そう思い、資金調達を図ります。
その手段として、クラウドファンディングを使います。
(クラウドファンディングを使った真の目的は、別にあると述べられていますが、ここでは割愛します)
・クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、
企画を実行したいと考える人が、インターネット上で資金の支援を募集するためのです。
支援金へのリターンとして、返礼品を贈ることもできます。
西野さんは、
「お金=信用を数値化したもの」
「クラウドファンディング=信用をお金に換える装置」
と定義しています。
だからこそ、資金調達のためには信用が重要な要素でした。
では、どのように西野さんは信用を積み上げたのか?
・信用
タレントとして、信用を勝ち取るために徹底したことが
『嘘をつかない』
ことだったそうです。
芸能人などのタレントの場合、テレビで述べたことの真偽は、人々に知られてしまう。
「まずいものをまずい」と言えなかった人の信用は見る見る落ちてしまいます。
→ただ、これの原因は環境にあると述べています。
”嘘は「感情」でつくのではない。我々は「環境」によって嘘をつかされる。”
まずいと言えない環境があるからです。
(言ったとしてもカットされてしまう)
だからこそ、西野さんは「グルメ系の番組のオファーをキャンセルする」「大御所に意見する」などで、
信用を落とさないことに努めたそうです。
最高の作品を作るという目的のために、逆算して行動を起こしていたんですね。
また、トークショーの入場料を破格にすることを実施
→目先の利益よりも感謝を取り、信用を積み上げていきました。
『マネタイズのタイミングを後ろにずらす』
ということが大切であると述べています。
メガヒットのための戦略② 広告
ここからは、分業制で作品を作ったあとの話です。
商品を届けるまでが親(作者)の仕事だと西野さんは述べます。
より多くの人に商品を届けるために本当に多くの策を講じています。
ここでは3つだけ紹介します。
1.個人で1万冊買う
※ここでは、自腹で買ったわけではなく、1人でも多くの人に届けるための戦略としての代理立替です。
理由は3つ。
①早い段階からの予約販売を可能にする
→機会損失を防ぐ
②初版発行部数を上げるための「交渉材料」を手に入れる
→『1万部すでに予約が入っている本』という権威性
③「1万冊分の領収書」という話題性
→SNSでの反響やテレビ取り上げられ、さらなる認知へ
2.クラウドファンディングでの個展開催
制作過程でのクラウドファンディングとは別に、もう一度、広告の要素としても利用していたそうです。
それは、個展の開催。
主な目的は以下のもののようです。
1.作り手を増やすことでの「共犯者」を増やす
支援者は作り手となるため、その分絵本を買う動機に繋がる
2.支援者による「広告の連鎖」を図る
個展の開催を一般人に委ね、ファンの外側への周知に繋げる
3.絵本を「おみやげ化」する
体験へのおみやげとして絵本を販売する
特に3つめは面白いですね。
西野さんは、絵本を売ろうと考えた時に、売れるものは何かと考え、「おみやげ」は売れると気づきました。
→おみやげには「体験」が必要だから「体験」を作ればよい
と思って、個展を開くことにしたそうです。
個展というイベントにおける、おみやげとして機能するのが、絵本。
以下のように述べています。
「モノ消費から、コト&モノ消費」だ。
商品は体験に紐付ければ確実に売れる。
なんという発想の転換!
「絵本」としてではなく、
個展に対する「おみやげ」として売っていったんですね。
3.無料公開
絵本の無料公開は前代未聞でした。ですが、勝算があることを知った西野さんはそれを実行します。
1.絵本購入の流れ【前提】
2.ネット公開で認知拡大
3.売るための勝算
キーワードは
「フリーミアム戦略」
です。
1.絵本の購入への流れ【前提】
絵本はどのような流れで購入されるのか?
西野さんは、世の中のお母さんたちが絵本を買うときに、
「どのような行動を経て買うのか?」に目を向けます。
→「自分で読んで内容を確認し、良かったもの」を買うと知ったそうです。
逆を言うと、内容がわからないものは買わず、
「負けない(失敗しない)ことがわかってから購入するということですね。
読んでもらう人が増えれば増えるほど、買おうとする人の数も増えますよね。
そこで、一人でも多くの方に内容を知ってもらうために、絵本の「フリーミアム戦略」に出ます。
2.ネット公開で認知拡大
「フリーミアム戦略」とは何か。
Wikipediaでは以下のように記されています。
フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品は無料で提供し、
さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデルである。
引用(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/フリーミアム)
スーパーの試食販売やabemaTVなどもそうですよね。
試してもらった上で、より良いものは有料で購入する。
そんなフリーミアム戦略をこの絵本でとったそうです。
→絵本のインターネット上での無料公開です。
インターネットを使用するため簡単にアクセスでき、かつ無料のため、
一気に認知を増やすことができ、すなわち内容確認者の数を増やすことができます。
試食をする人の数が増えれば、母数が増えるので、必然的に購入する人の数も増えますよね。
3.売るための勝算
ただ、「無料で公開したら、絵本が売れないんじゃない?」と思いますよね。僕も思いました。
しかし、勝算がありました。
それは
”物質としての絵本に価値がある”
ということがわかっていたからです。
読み聞かせでは、手元に絵本があった方が便利ですもんね。
そして、その価値を高めるために、WEBの無料版では、縦スクロールのみにしたそうです。
→縦スクロールでは、読み聞かせには不向きです。
これが横スクロールであったら、お母さんたちは「買わなくていいや」と考えると思います。
このような
1.絵本購入の流れ【前提】
(皆、内容確認後に購入している)
2.内容確認をする人の数を増やす
(絵本の無料公開による認知拡大)
3.内容確認後の購入確率を上げる
(縦スクロールというストレス)
上記の勝算があったからこそ、無料公開を打ち出し、結果としても大成功を収めました。
※「人は”確認作業”にお金を払う」
絵本の無料公開に付随する話として、上記のことが挙げられていました。
例)ディズニーの新しいアトラクション、ガイドブックで見たマチュピチュなど
写真や映像でどんなものかを見ているはずなのに、実際には行動して、お金を払って体験していますよね。
確認に対してお金を払っているという視点はとても面白く、「確かにそうだな」と感じました。
本の中で西野さんは以下のように述べています。
僕らは、「すでに、ある程度の実力が測れているモノ”にしか反応していない。
そして、「それを生で見たらどうなるの?」といった類の確認作業の為に、ようやく重い腰を上げている。
感じたこと
この革命のファンファーレ自体も絵本「えんとつ町のプペル」のための広告の要素として機能していると感じました。
【行動】革命のファンファーレを読む
↓
【興味】文中で何度も出てくる「えんとつ町のプペル」がどんなものか気になる
↓
【行動】無料版の絵本を読んでみる
↓
【感情】内容に心を打たれ、感動する
↓
【行動】絵本「えんとつ町のプペル」を購入する
という見えない導線がひかれていますね。
この辺の話は、西野さんの最新の本『ゴミ人間』に記されているので、以下の記事を読んでみてください。
「シナジーマップ」の部分で詳しく描かれています。
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【要約】西野亮廣氏の本、「魔法のコンパス」で語られる内容とは?
続きを見る
大ヒットは偶然ではなく、必然の結果であったことがわかりました。
西野さんの他の本もそうですが、ファンや読み手の導線がうまく引かれています。
「どのような気持ちになり、次にどう行動をとるのか」がまさに見えているような感じですね。
”これだけヒットを生んだという作品はどんなものなのか?”
という「確認作業」をしたくなるような記述が多い。
しかも、無料で見られるというのだから、確認へのハードルが低い。
この戦略は圧巻。まさに革命家です。
ということで、無料版の「えんとつ町のプペル」のリンクを張っておきます。
以下のURLから確認しちゃってください。
無料版の「えんとつ町のプペル」↓
https://r25.jp/article/581356883170827173
まとめ
絵本「えんとつ町のプペル」が大ヒットした要因は他にも様々ありますが、
何重にも戦略が練られていましたね。
この記事で紹介したポイントは、
・お金とは「信用を数値化したもの」
・クラウドファンディングは、「信用をお金に換える装置」
・「フリーミアム戦略」として絵本の無料公開
・絵本の「おみやげ化」
・人は「確認作業」にお金を払う
です。
興味がある方は、是非読んでみてくださいね。
ではまた!